【脳科学】脳の有難い機能を基礎練習や譜読みに応用する方法
大変そうな曲をスキルのあまりない人が演奏すると本当に大変そうに見えるのに、プロが弾くとらくらくと弾いているように見えます。
自分は一生懸命練習しても弾けないのに何でプロは弾けるの?
そんな疑問を持ったことはありませんか?
脳には経験していないのに経験したと勘違いするものすごい能力があります。
それを譜読みや基礎練習に活かす方法と
プロがらくらくと弾くのにはいったいどういった理由があるのか。
以下を解説していきます。
- プロは考えながら弾いていない
- 脳では何が起こっているのか
- 脳が持っている能力の基礎練への応用
- 脳が持っている能力の譜読みへの応用
【脳科学ってすごい】基礎練習や譜読みに応用できる脳の有難い能力
【脳科学ってすごい】基礎練習や譜読みに応用できる脳の有難い能力
脳科学という研究分野は、演奏の色んな「何故」の答えを教えてくれます。
専門的なことは難しいですが、演奏に関して役立つことは知識として知っておくと良いなと思えることが多いです。
では以下を深掘りしていきます。
- プロは考えながら弾いていない
- 脳では何が起こっているのか
- 脳が持っている能力の基礎練への応用
- 脳が持っている能力の譜読みへの応用
プロは考えながら弾いていない
曲のムズカシイところはスキル不足や練習不足だと色々と考えてしまいます。
- 無事に乗り越えたい
- 不安だから出来るだけ安全に通り過ぎたい
など邪念も生まれやすい。
ミス回避を考えてしまうと演奏が委縮したり音楽が小さくなったりします。
そして
あーそこ難しいんだろうなぁ
と聴き手に伝わってしまいます。
上手いピアニストは難しいところが来てもあまり何も考えていません。
技術があって練習を積むことで「考える」ということをせず身体が反応するようになっているからです。
ムズカシイ…とは考えていないのだから、難しいと聴き手に伝わらないのです。
脳では何が起こっているのか
ピアノ演奏スキルの解明 という論文によれば、経験を積むことで脳がエコ仕様で動くようになっているからだという事らしい。
プロピアニ ストが複雑な手指動作を行なう際、脳の運動関連脳領域の賦 活量はピアノ未経験者よりも少ないことが知られており、これは音楽訓練により手指運動時の脳賦活量の効率化が進んだと考えられている。
ピアノスキルの解明 より
例えれば…
未経験者
見知らぬ土地で行先までを地図を見たり人に聞いたり、交差点名を憶えながら進んでいく
プロ
家から通い慣れた職場や学校へぼーっとしながらたどり着ける
という感じでしょうか。
脳が持っている能力の基礎練への応用
上記の論文には、ピアノ未経験者が数日指を動かすと脳が効率的に働くように変化することも書かれています。
そして一度身につけたスキルは一定期間が経っていても衰えず、また訓練しなかった方の手の動きにも脳的に変化が見られたという実験結果がでているそうです。
長期的に演奏していると、感覚としては数日練習をしなければかなりの衰えや違和感があります。
しかしこの論文によると一時的に楽器に触れない事があったとしてもそれほど悲観的にならずとも良いと捉えられます。
脳が憶えてくれているというとてもありがたい働きを基礎練で活かさない手はありません。
記憶として残せるのであれば同じ練習の反復ではなくバリエーションに富んだ基礎練のローテーションを組むことができ、飽きずに基礎練習に取り組めます。
脳が持っている能力の譜読みへの応用
脳がある程度憶えてくれていて継続する事によって効率的にこなしてくれるという性質は、譜読みにも役に立ちます。
譜読みもしばらく間があいてしまうとやり方を思い出すのにモタモタしてしまいます。
そこで
いつも譜読みをする
という状況をつくっておきます。
いつも譜読みを行っているとプロセスが効率化されていくので、一度に多くの作品の譜読みを並行してできるようになります。
一度ざっと譜読みした楽曲を少し寝かせておいたとしても、忘れている部分が少なく、また少ない回数で弾けるようになっていきます。
まとめ
基礎練や譜読みに応用できる脳の有難い能力について以下解説しました。
- プロは考えながら弾いていない
- 脳では何が起こっているのか
- 脳が持っている能力の基礎練への応用
- 脳が持っている能力の譜読みへの応用
こういった脳の性質からピアノ演奏の何故へのアプローチというのはとても興味深いものです。
心の問題、考え方の問題、練習不足、スキル不足…などの悩みを、少し違った角度から見ることによって、解決や向上の手掛かりになります。
【論文の著者の1人が書かれた演奏と脳科学の興味深い本】
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