【ピアノ曲解説】シューベルトの即興曲は小品集だった!?

2019年12月26日作曲家・作品,CD,即興曲,解説

シューベルト作品のなかでも、比較的演奏される頻度が高い曲が入ってる即興曲集。

ロマン派のちょっとした小品として抜粋での演奏や、がっつりと曲集全体を演奏することもあります。

美しく流れるようなメロディで各曲にタイトルが付けれそうなキャラクターがある曲集です。

ミャウジ
ミャウジ
子供の頃にD899-2とか4とかちょっと年上の人が弾いてるの聴いて憧れたよなぁ!
シューベルトの曲って感覚的だとか長いとか批判的に言う人もいるけど、聴くのも分析するのも楽しい曲がいっぱいあるよね。
かずねぇ
かずねぇ

では、シューベルトピアノ作品の中でも幅広く人気のある即興曲について解説していきます。

  1. シューベルトの即興曲はいつ書かれたのか
  2. 作曲の経緯と世に出るまで
  3. 各曲にどんな関連性があるのか

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【ピアノ曲解説】シューベルトの即興曲は小品集だった!?

【ピアノ曲解説】シューベルトの即興曲は小品集だった!?

シューベルト作品の魅力はキャラクターピースにも良く現れています。

親しみやすいメロディーと不意に変化する調性。

これは現代の人気が出るポピュラー音楽に共通しているものでもあります。

そんなシューベルトの名作「即興曲」についてさらに深掘りしていきます。

  1. シューベルトの即興曲はいつ書かれたのか
  2. 作曲の経緯と世に出るまで
  3. 各曲にどんな関連性があるのか

即興曲はいつ書かれたのか

シューベルトは短命で31歳で亡くなっていますが、作曲の数は認知されているものだけでも1000を超えています。

同じく短命で量産タイプだった作曲家のモーツァルトやメンデルスゾーンもそうですが、常人の2~3倍以上のスピードで生きさらに数倍の仕事量をこなしていました。

即興曲は2曲集とも1827年に作曲されています。

これは有名な歌曲集「冬の旅」と同年…と言っても人の倍以上のスピードで書いていたシューベルトは他にも沢山の作曲をしています。

まぁ、ざっくり晩年の作品と考えるとよいでしょう。

作曲の経緯と世に出るまで

もとは2曲集ではなかった即興曲

現在ではD899とD935の2つの曲集として知られていますが、作曲当初はどうやら違っていたようです。

D935の4曲には第5番、第6番…と番号がつけられていて、シューベルトは両曲集を合わせて8曲の小品集とし て出版しようとしていました。

小品にしては1曲が長すぎた…

小品集として世に出したかったシューベルトですが、出版社には「どの曲も小品というにはちょっと長くね?」と思われたようです。

演奏時間はだいたい以下のような長さです。

  • D899 
    • 1番 11分  
    • 2番 4分半
    • 3番 6分半
    • 4番 8分
  • D935 
    • 1番 10分
    • 2番 7分半
    • 3番 12分
    • 4番 7分

演奏時間を見ると、確かにD899の2番がかろうじて小品と言える長さですね。

そんな事で出版社が渋ってしまい「小品集」ではなく「即興曲」と出版社側でタイトルを付けられてD899-1と2のみ出版されました。

出版の危機

あれ?小品集って認めてもらえないってことは、このままではこの曲は売れないかもしれないのか!?

と危機感を感じたシューベルトは、後半4曲(D935)をまとめて、自身で「即興曲」と題して別の出版社へ原稿を送りました。

しかし出版に至る前にシューベルトが亡くなってしまったので、実際に出版されたのは没10年後でした。そして残りのD899-3と4はさらにその20年後の1857年まで世に出なかったのです。

各曲にどんな関連性があるのか

8曲の小品集として発表しようとしていたので、各曲にそれなりの関連性があるのだろう…と推測してしまいたくなりますね。

ではどんな関連があるか探ってみましょう。

以下は各曲のテンポと調性です。

【即興曲 D899 Op.90】

  1. Allegro molto moderato c-moll
  2. Allegro Es-dur
  3. Andante Ges-dur
  4. Allegretto As-dur

【即興曲 D935 Op.142】

  1. Allegro moderato f-moll
  2. Allegretto As-dur
  3. Andante – Variationen B-dur
  4. Allegro scherzando f-moll

うっすらと4楽章制のソナタのようなテンポ配列にも感じられますが、他に何か気づきませんか?

ドゥワワワ~

dur

moll

注目してみてね♪

そうです。

全部♭系で書かれているのです。

たまたま♭系に偏っただけじゃないか?

と思う人もいるかもしれませんし楽曲内で転調もいっぱいしているので、この調にこだわりがあったかどうかは分からないじゃない!と考える人もいるでしょう。

しかし調性というのは曲のカラーがばーんと決まってしまう上に、調が違う事で音の響きが全然変わってしまう。

作品を何調で書くのかっていう事を重要視する作曲家は多いのです。

なので、転調を感覚的に自在に操るシューベルトがこの調性を並べるってことは、何か関連性をもたせる意図があったんじゃないのかな…と楽しく妄想できるわけです。

まとめ

これらの即興曲は単品で演奏されることも、また曲集として演奏されることもあります。

ソナタなどの構成の大きいものにチャレンジする前にシューベルトを知るのにとても良い作品です。

またベートーヴェンのように固くガンとしたところや深刻さがなく、ブラームスのような重厚感も求められないので肩ひじ張らず演奏できるのが良い所でしょう。

メロディも美しく現代のポピュラー音楽と似た展開なども楽曲中に沢山あってとても耳なじみの良い作品ばかりです。

興味を持たれた方は是非演奏してみてくださいね。


【註】D…ドイチュ番号 シューベルトの作品番号のこと


【楽譜】

シューベルトはヘンレ版とウィーン原典版、ベーレンライター版ではすごく違うところがあるので読み比べるのが大事。その中でもウィーン原典版は持っておくと良い一冊です。

【CD】

色々あるけれど、ルプーのがおすすめかな。音色が豊かで柔らかいピアニスト。

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