【量質転化の法則】ピアノ上達には練習の質か量か

2020年1月23日レッスン,ピアノの先生のつぶやき,練習方法,練習,上達,質量転化,量質転化

練習はが大切なの?
それともやっぱり
をこなさなければならないの?

こんな疑問を持ったことはありませんか?

はたして上達には質か量かという二元論は当てはまるのでしょうか。

ミャウジ
ミャウジ
量も質も大事だと思うけど、量質転化の法則って何だろう?
量質転化の法則って、楽器弾けるようになるのにも当てはまる法則だよ。
かずねぇ
かずねぇ

忙しい昨今、練習は「」だ!と考える人がいます。

そしてそういう人は時間をかけずに弾けるコツを求める傾向があります。

でも「」も大切。

結論から言うと練習は「質を伴った量」が必要です。

量の必要性は「量質転化の法則」で説明することができます。

この記事では練習の量と質について深掘り解説していきます。

この記事で分かること
  • 量質転化の法則について
  • 上達に必要なのは練習の質の伴った量

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【量質転化の法則】ピアノ上達には練習の質?それとも量?

【量質転化の法則】ピアノ上達には練習の質?それとも量?

練習の量と質の問題はSNS上でもしばしば議論を見かけます。

演奏するものにとって練習量は必然です。

そしてさらに効率化できる「」はとても大事な要素です。

しかし…そもそもの量が足りていない人に限って

量より質が大事

と主張する傾向もあるので、それはちょっと違うよというお話をしていきます。

ピアノ上達には練習の「量」か「質」か

ピアノやその他の楽器の上達には練習は必要です。

そして練習って時間が掛かるもの。

しかし忙しくしていると十分には練習できない事もあります。

そうなった時にどうしても練習の「」という部分だけにフォーカスして情報を集めたくなりますよね。

しかし残念ながら「」だけで上達できるスキルはありません。

第一線でバリバリ演奏する人、コンクールや受験で

成功する人の100%が質の高い圧倒的な練習量をこなしています

すなわち量と質どちらも兼ね備えているわけです。

それは才能なんじゃないか?
量をこなしても
質の高さには
つながらないんじゃないか…

そんな疑問もあるでしょう。

そこで知って欲しい考え方が「量質転化の法則」です。

量質転化の法則って何?

量質転化の法則とは、

ある一定量に達したときに質に変化する

という現象のことです。

もとは物理学用語の相転移からきています。

相転移

物質が化学的、物理的に一様であるとき、その均質な部分を相と呼ぶが、一般に物質は例えば水(液相)が氷(固相)になったり水蒸気(気相)になったりするように、温度や圧力などによって異なる相をとる。このように、物質がある相から異なる相に移ることを相転移または相変化という。単に転移ということもある。また相転移の起こる温度、圧力などを転移点と呼ぶ。(後略)

引用元:世界大百科事典 第2版

簡単に言えば
ある一定の状態になんらかの力を
かけ続けたら、ある時
パッと
違うモノになること

量が質に転化されるとは

練習をしていてずっと弾けていなかったのに、ある時パッと弾けるようになった。

というような経験はありませんか?

これを質量転化の法則になぞらえて言うと

一定の練習量をこなしたことによって弾けるようになるという質的な変化をもたらした

と言えます。

なぜ量が質に転化されるのか

例えば新しい曲を始めるとしましょう。

しかし最初はまだ弾けません。

何故なら…

  • 曲を把握していない
  • 身体に音が入っていない
  • 運指が決まってない

など練習を積まなければクリアできない課題があるからです。

曲を弾き始めてしばらくは、弾けない所や難しい所でのミスなどの失敗が多いですよね。

なので練習量に比例して失敗の数も増えてしまいます。

練習を重ねてだんだん弾けるようになると、ある点から練習量と失敗の量が反比例していきます。

それが転化ポイント(ブレイクスルー)です。

グラフにするとこんな感じです。

練習の中で失敗を重ねることによって、コツや注意することを学びます。

そして一定量に達したとき転化ポイントがやってきて失敗がぐっと減っていくのです。

上達のカギは転化ポイントの位置

上達をより早めたいのなら、量から質への転化をどのようにして早めるかがカギとなります。

転化を早めるには以下2つの方法があります。

ポイント
  1. 量をこなしながら、質に転化するのを早めるために創意工夫をする
  2. 量を増やして転化を早める

創意工夫の方法として有効なのがビジネスでもよく言われているPDCAサイクルです。

これは長くなっちゃうので別記事参照ください。

創意工夫(コツ)が良く分からない場合は取り敢えず量をたくさんやってみる。

そして少しずつコツを得ていくことで転化させます。

量が多いほど転化ポイントが早まる可能性が高まるという考えです。

転化ポイントまでの道のり

転化ポイントまでの量と質のバランスはこんな感じ

量 100~90%

質 0~10%

譜読み段階。譜面みながらあちこち失敗している状態。

量 90~60%

質 10~40%

ちょっと弾けてきて、譜面見ながら仕上げていく状態。

量 60~30%

質 40~70%

人前で演奏するレベル。ここまでくるとレパートリー。

練習量が足りていないと指摘される理由

量が90%くらい必要な状態の時は、弾いている数だけ失敗数が多くなります。

これは相当メンタルがいります。

この状態の時に

「弾けないからもういいや

と途中で練習の積み上げをやめてしまう人が

「量が足りていません

と言われる状態です。

しかも、せっかく積み上げた練習量であともう一息なのに、ブレークスルーポイントが来る前に辞めてしまったりサボってしまうため弾けない状態にまた戻ってしまうのです

ブレークスルー前にやめると、例え弾けるようになるの転化ポイントまであと8~9割のところまでがんばっていたとしてもまた1~2に戻ってしまういます。

これが重なることで

「いつまでたっても弾けない」

という状態になってしまいます。

質に転化されるスピードが上がるとどうなるのか

転化のスピードアップは、こんなスキルにつながっています。

  1. 楽曲の量をこなせるようになる
  2. 本番の量を増やせるようになる
  3. 練習量をコントロールできるようになる

残念ながら、上記の絵で示しているように質が上がったとしても

一定の練習量は必要です。

はやくにブレークスルーしてすぐに曲を仕上げることができたとしても、以下のような理由で練習時間は必要だからです。

  • 弾ける状態をキープ
  • さらに楽曲をこなす

一度転化された質はその後どうなるのか

これは、水で例えると分かりやすいです。

水に熱を加えると液体から気体へ変わりますよね。しかし熱が下がればまた液体に戻ります。

スキルは物質のような明確な状態変化は起こりませんが、近い状態を経過すると考えてよいでしょう。

つまり、ものすごく量を積んで(熱を加える)弾けるようになるスキルという質を手に入れたとしても(水蒸気になる)、量を積むことをやめてしまえば(熱がなくなる)、また量をこなさなければならない状況(液体に戻る)になります。

転化した状態をキープすることで、質を保つことができる

のです。

で、練習は質か量かの結論は…

ある一定の弾けるところに至るまでは量を積み、転化したら質を高めていくというのが弾けるようになるための過程です。

最初から質を高めることは残念ながらできません。

なぜなら、質は量をこなして得る経験そのものの事だからです。

そして、ただ量をこなしたからと言って質を得るところまでに至れるか…という答えもNOです。

これが禅問答を引き起こしている原因。

答えは、量をこなし、弾けて来たら、質を高めて量も保つ

そして、さらに上達を目指すのであれば、質の高い量をこなす 必要があります。

【練習量についての記事】
ピアノが弾けるようになるまでの練習時間
どれくらい練習時間が必要?


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