【心理学】心がズキズキする…なぜ心の痛みはおこるのか
今回は心の痛みについて。
いじめやハラスメントで低く扱われたり、無視をされたり、悲しい別れを経験した時など心がズキズキしますよね。
心は目に見えないはずなのに、でも確かに痛い。
このズキズキするという感覚はいったいなんなのか…?
そんな疑問から考察していきます。
- こころの痛みとは
- なぜこころが痛むのか
- 実際にどういうことが起こっているのか
- ブロークンハート症候群
【心理学】心がズキズキする…なぜ心の痛みはおこるのか
【心理学】心がズキズキする…なぜ心の痛みはおこるのか
あなたはどんな時にこころの痛みを感じますか?
仲間外れにされた時、大切な人や可愛がっていたペットとお別れしたとき、ひどいハラスメントを受けながら抵抗できなかったとき…
色んなシーンで傷ついた経験を思い出された事でしょう。
この傷ついた時、なんかズキズキと痛みを感じますよね。
傷ついという感覚はわかっても、じゃ心って見えないのになんで痛いんだ?こころの痛みってなんだ?という疑問が湧いてきます。
では、心の痛みについて以下4つをさらに深掘りしていきます。
- こころの痛みとは
- なぜこころが痛むのか
- 実際にどういうことが起こっているのか
- ブロークンハート症候群
心の痛みとは
心の痛みはSocial Pain (社会的痛み)と言われています。
その殆どが社会的に人と関わることによって起こります。
「痛くない」という状態を表す言葉はありません。
痛みを表す言葉はあることからも分かるように「痛い」というのは何らかの危機をしめすシグナルであると言えます。
なぜこころが痛むのか
友人や恋人、家族、仲間のような親しい関係性を排斥されたり低く評価されたと感じた時のネガティブな感情によってこころは痛くなります。
排斥(はいせき)
押しのけたり退けたりすること。ここでは無視や嫌悪、死別、生き別れなどの関係性が断たれること。
また低評価とは恋人になりたいのに友人としてしかみてもらえない、認められたいのにぞんざいに扱われるといったような望ましい関係性よりも低く評価された状態のこと。
人間は太古の昔から集団で生きてきました。
集団の中は生存率が高かったのです。
ですが集団の中で仲間外れにされたり見捨てられたりすることはすなわち「死」を意味することでした。
その状態を「危険である」ということを知らせるために「痛み」というシグナルがプログラムされたと言われています。
また実験においても、仲間とは感じていな集団からの排斥にはさほど痛みは感じないですが、特に自分が仲間だと感じているところからの排斥が痛みが増します。
こちらの論文には心の痛みについてこう記しています。
人間は社会的動物であり、望ましい関係性から排斥されたときに悲痛な感情を経験する。このネガティブな感情は社会的痛みと呼ばれる。多くの動物実験及び画像研究の知見から、身体的痛みと社会的痛みはその機能と神経機序を共有していることが示されてきた(中略)鎮痛作用のあるオピオイドは社会的痛みをも減弱または消失させることを示した知見を紹介する(後略)
なぜ心が痛いのか
一社会神経科学における排斥研究の現状一
実際にどういうことが起こっているのか
こころがズキズキしているときにどんなことが起こっているのでしょうか。
こころの痛みを感じる場所が実際に傷ついた時と同じ脳の反応
排斥によって悲痛な感情があらわれると「痛み」の信号がはしります。
この痛みは実際に身体的に傷ついた時と同じ脳の場所が反応します。
なので「痛い」という感覚になります。
簡単に言うと
疎外されたり別離した時の悲痛を感じるところが、実際に痛みを感じる所と脳ミソの場所が同じ
だからズキズキします。
痛みを押さえるオピオイド
人にはオピオイドという鎮痛作用物質があって、普段はその物質が正常に活動しているので痛みを感じません。
排斥によってネガティブな感情が引き起こるとオピオイドの活動が低下します。
そして平常時には押さえられてた「痛み」がでてきます。
この「オピオイド」は麻薬のような鎮痛作用があります。
そしてオピオイドは特に愛着行動に重要な役割があります。
ある実験では恋人が亡くなったことを想像させるだけでもオピオイドが低下することがわかっています。
また暗示によってこの痛みは軽減することもわかっています。プラシーボ効果と言われるやつです。人によっては他者の苦痛を見てしまうとズキズキしてしまう「共感的苦痛」というのもあります。ガンガン、ズキズキ、キリキリという言葉を聞くだけで痛くなります。
ブロークンハート症候群
では次は身体的な症状との関係について。
こころのズキズキは失恋でもっとも感じる人が多いので「ブロークンハート症候群」または「ストレス性心筋症」と呼ばれています。
ブロークンハート症候群の主な症状は心筋機能の衰え。
- 心臓が締め付けられる感じ
- 心臓が一時的に酸欠になって起こる痛み
- 不整脈
- 息苦しさ
など、心臓病と似たような症状が現れます。
これがズキズキしたり胸が苦しいという症状ですね。
感情は身体にとって一種の「ストレス」刺激です。
ショックな状況になると…
- 交感神経が興奮する
- 体内で大量のカテコールアミン(主にアドレナリン・ノルアドレナリン)が分泌される
- 血管に入り込み心臓に一時的な毒性を与え心痛を引き起こす
- 末梢神経の収縮
- 寝室金の収縮力低下
- 心拍数減少
- 血液供給量減少
- 体内の酸素不足
このような身体症状がでます。
心理的ストレスに弱い人はブロークンハート症候群を患いやすい。
女性は男性より罹患率が高く特に中高年の女性の罹患率が最も高いとされています。
まとめ
こころの痛みとは
排斥によって起こるネガティブな感情が刺激(ストレス)となって身体に痛みを引き起こし、普段はオピオイドの活動によって痛みはないが疎外されたり不当な扱いによって起こるネガティブな感情になるとオピオイドの活動が低下し痛みとして現れる。
見えない痛みなだけになかなか伝えにいのが心の痛みです。
そしてなかなか人には分かってもらえないというところも辛いところです。
こころ痛みがひどい場合は治療や心理療法も必要です。
参考サイト&文献
- J-Stage なぜ心が痛いのか
- 日本心理学会 痛みの心理学
- 生理学研究所 心の痛みのメカニズム解明
- J-Stage 我が身をつねって人の「心の痛み」を知れ:自己の身体的苦痛の感受性と他者の心理的苦痛の推論との関連性
- 悲しみなどによる心の痛みは本当に痛い?「ブロークンハート症候群」
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