【ピアニストが解説】メンデルスゾーンピアノ三重奏(通称メントリ)の3つのヤバさ

2019年8月31日ピアノ弾きのつぶやき,演奏,つぶやき,作曲家・音楽家・作品,メントリ,メンデルスゾーン,ピアノ三重奏

今回はピアノ三重奏曲の金字塔的な作品

メンデルスゾーンピアノ三重奏曲

についてのお話です。

メンデルスゾーンのピアノ三重奏は、通称「メントリ」で親しまれています。

室内楽をやってみたい!と思う人が憧れ、一度は弾きたいと思う曲なのではないでしょうか。

また演奏頻度も高いため、往年の巨匠の演奏や最近の若手スゴ演奏家など、さまざまに録音があるので色んな演奏を楽しんだり学んだりすることができる曲です。

ミャウジ
ミャウジ
ぼくもいつか弾いてみたいなぁ!でも難しいんだろうな。
ピアノ三重奏は、がっつり三つ巴でソロ二人を相手に弾くソナタって感じ。メントリは技術的にも難しいよ。
かずねぇ
かずねぇ

楽曲に取り組むとき、演奏する人によって気に入ったポイントや気になる所が様々あって、アンサンブルをする時にはそういった意見交換ができるのも楽しみの1つです。

各楽器による都合なども、自分が演奏する楽器しか知らない場合には、かなりたくさんのことが学べたりします。

楽曲にはそれぞれに奏者の気に入ったポイントがあったり、クセのある個所があったり、理解が難しい所、美しい所など上げればキリがありませんが、ピアノ弾きの立場から思うところをしぼりにしぼって3つ、

  1. テンポ設定ヤバくね?
  2. で、この重音とか32分音符書くか?
  3. でも楽譜通りに弾かないと音楽にならないんだよね

解説していきましょう。

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【ピアニストが解説】メンデルスゾーンピアノ三重奏(通称メントリ)の3つのヤバさ

【ピアニストが解説】

メンデルスゾーンピアノ三重奏

(通称メントリ)

の3つのヤバさ

メンデルスゾーンの室内楽作品は、とにかくピアノの音が多い。

演奏しててずっと弾きっぱなしという印象です。

どうしてこんなに沢山の音が書かれているのか…をよくよく考えると、ちゃんと意味があってのことだったりします。

では、メントリの3つのヤバいこと

  1. テンポ設定ヤバくね?
  2. で、この重音とか32分音符書くか?
  3. でも楽譜通りに弾かないと音楽にならないんだよね

これらを深掘りしていきましょう。

テンポ設定やばくね?

ピアノ三重奏は作品49、66と2曲あります。

楽譜中に指示されているテンポは以下。(Edition Peter 参照)

第1番 作品49
  1. Allegro molto agitato 符点二分音符=80
  2. Andante con moto 四分音符=72
  3. Scherzo – Leggiero e vivace 符点四分音符=120
  4. Finale – Allegro assai appassionato 二分音符=100
第2番 作品66
  1. Allegro energio e con fuoco 二分音符=96
  2. Andante espressivo 符点四分音符=54
  3. Scherzo – molto allegro quasi presto 二分音符=88
  4. Allegro appassionato 符点四分音符=112

両曲とも2楽章はAndanteでテンポ設定にも違和感はあまりないですが、Allegroと表記されているにもかかわらずこのテンポ設定。

ショパンエチュードでもマックス二分音符=88ですから、相当の速さであることがわかります。

で、この重音とか32分音符まで書くか?

上記のようなテンポ設定にもわらず演奏する上で結構な無茶ブリをされたような音型があります。

  • オクターブと単音、または6度と単音のトレモロ音型
  • さらに細かな32分音符や連符

電動で動くマシンか何か、指先が勝手にパラパラ動くような補助機欲しいと思ってしまいます。

音が身体に入りきるまでは、他の作曲家の楽譜面の感覚からすると連桁を一本足したように感じて譜面を読む必要があるなと感じます。

でも楽譜通りに弾かないと音楽にならないんだよね

室内楽はメンツによってテンポ設定が大きく変わる事もあります。

奏者全員のポテンシャルがなければ、なかなか楽譜に近づいたテンポでという演奏機会はないためか、譜面の指示通りの演奏を聴く機会はあまりなかったりします。

しかしこの書かれているテンポに近づけることによって、楽譜中のアーティキュレーションが何故そうなのか、また、もっさりして弾きくく感じる箇所の景色が一変するなど、楽曲の雰囲気が全く違ってきます

指示されたテンポで演奏するためには、かなり細かい音符の扱いの概念を変える必要があって、メンデルスゾーンがこれらの曲をどんな風に弾いて欲しかったのかっていうのが良く分かります。

なんでこんなテンポ設定なのか

様々な録音を聴くと、すごくゆっくりにcantabile や espressivo優先でたっぷりの演奏もあれば、近年の若い演奏家で表記速度をほぼ守って演奏している人もいます。

スピード感のある演奏は聴いている方も息をのみます。

このめちゃ速いテンポ設定は、メンデルスゾーンの気質にもよるところがあります。

メンデルスゾーンは、いろんな曲の棒(指揮)を速く振りすぎてブーイングを食らっていたそうです。

彼の中にあるそもそものテンポ感が「せっかち」だったのかもしれませんが、16分音符の処理をいわゆる一音入魂ドイツものみたいに演奏するのではないイメージだったのではないかと想像がつきます。

しかし常人には演奏不可能に近い設定であることには違いありません。

それでもメンデルスゾーンの人生を知るとこのテンポ設定しかなく、せめて2割減くらいのテンポ設定では演奏することが望まれます。

まとめ

メントリのヤバい3つ

  1. テンポ設定ヤバくね?
  2. で、この重音とか32分音符書くか?
  3. でも楽譜通りに弾かないと音楽にならないんだよね

解説しました。

楽譜はこちら。

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